人事労務の分野において1番紛争が多いのが解雇問題です。特に近時の経済状況から,解雇された従業員の再就職が難しいこともあり,紛争が激化し,早期に紛争化する傾向にあります。
中には品川のホテルの事案のように,社会問題化し,事業の終了や譲渡に悪影響を及ぼす可能性もあるので,解雇する前に専門家に相談し,紛争に備える必要性があります。
特に,解雇問題については紛争化すれば長期化,感情化し,紛争解決のコストが高くなりがちですので,予防法務が必要とされる分野です。
解雇とは,使用者による労働契約の解約であり,解雇の種類には,①普通解雇②整理解雇③退職勧奨④懲戒解雇⑤試用期間中の解雇⑥雇い止め等があります。
裁判例上,解雇には「解雇権濫用の法理」というものがあり,解雇事由に該当に該当する場合であったとしても雇用主は常に解雇できるわけではなく,解雇することが著しく不合理であり,社会通念上相当なものとして是認出来ない場合には解雇権の濫用として無効とされます。
では,どのような場合に解雇が合理的として認められるのでしょうか
①労働者が労務提供が不可能になった場合や,労働者の労働能力が無くなったり,労務提供することが妥当で無くなった場合
傷病によって労務提供が不可能となった場合や(東京電力事件),勤務成績の著しい不良(プラウドフットジャパン事件),無断欠勤が1ヶ月継続した場合等が該当します。
②労働者の規律違反が著しいとき
度重なる暴言・誹謗を行うとき(大通事件)が該当します。
③経営上の必要性に基づく理由
合理化によって部署が無くなり,さらに他部署への配置転換も不可能な場合や,リストラの場合です(リストラの4要件については今後解説致します)
④ユニオン・ショップ協定に基づく組合の解雇要求
労働組合員であることを雇用の条件とした場合に,組合から除名された場合(日本食塩製造事件)です。なお,除名が無効であれば解雇も無効となります。
解雇問題が紛争化した場合,第一次的には裁判をすることなく,当事者の交渉,労働基準監督署での交渉での解決が望まれますが,裁判になった場合には以下の手続きが利用されます。
①労働審判
②訴訟
③保全手続
以上以外にも解雇に際しては社会保険の手続き等複雑な問題がありますので,信頼出来る弁護士と社会保険労務士にご相談することをおすすめ致します。